学生時代開高健に出会い、以来30年間、作家・開高健と人間・開高健を「鑑賞」してきた著者。
酒、食、女、釣り、妻、死生…等身大の開高健のエピソードをつづる。
開高健のいる風景(単行本)
酒、食、妻、多才、死生、闇、寓話、呪文、釣り、夏、女、玉、美食、独居、旅、謎、病、死、全18章。
「流亡記」を読んで、開高健を鑑賞する側にまわろうと決心した著者。
当時の会話や、作品の引用を交えて、様々なエピソードが綴られています。
牧羊子さん、ベトナム戦争、「オーパ!」の旅、「夏の闇」の女性について・・・。
開高健を評した本はいろいろありますが、個人的にはこれが一番わかりやすく、深いと思います。
こちら 有隣 第425号 菊谷匡祐「開高健・文章の人」 のページもご参考に。
開高健が釣りについて書きはじめる前と後とで、日本の釣師の釣魚レポートの修辞はまるで一変し、驚くべき絢爛・多彩に変貌してしまったのだ。
ジンギスカンをつまみながら、二人はビールの景品としてついてくるようなコップで、R・Cを飲んだ——のだが、ロマネ・コンティの香りや味についてここに記す気はない。
何より、ジンギスカンを食いながらR・Cを飲むという破天荒な行為が、じつに愉快だった。
読み終わってしばらくしてから開高さんに会って、
「あの女性、いったい誰です?」
と訊いた。
「何でや?」
「ぞっこん惚れてるんでしょ?」
「余計なお世話や」
「まさか、佐々木千世じゃないでしょうね」
すると開高さんは顔色を変えて言った。
「どないして君が知っとるんや」
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