ヴェトナム戦争で信ずべき自己を見失った主人公は、ただひたすら眠り、貪欲に食い、繰返し性に溺れる嫌悪の日々をおくる・・・が、ある朝、女と別れ、ヴェトナムの戦場に回帰する。
“徒労、倦怠、焦躁と殺戮”という、暗く抜け道のない現代にあって、精神的混迷にかざす灯を探し求め、絶望の淵にあえぐ現代人の《魂の地獄と救済》を描き、著者自らが第二の処女作とする純文学長編。
「輝ける闇」後の主人公を描いた作品。
雨のパリ、夏のドイツ、湖でパイクを釣るシーンもあります。
夏の闇(新潮文庫)
最初の一匹はいつもこうなんだ。
大小かまわずふるえがでるんだよ。
釣りは最初の一匹さ。
それにすべてがある。
小説家とおなじでね。
処女作ですよ。
だからおれは満足できた。
もういいんだ。
魚は逃がしてやりなさい。
おれたちは遊んでるんだ。
入ってきて、人生と叫び、出ていって、死と叫ぶ。
直筆原稿版もあります。
直筆原稿版「夏の闇」(原寸大・函入・部数限定)
小説家・開高健が心血を注いだ代表作を、408枚の直筆生原稿そのまま、原稿用紙の質感に迫る原寸大で再現。
精緻で圧倒的な小説世界が、作家の筆遣い、息遣いとともに直に伝わってくる特別愛蔵版です。
担当編集者による解説、編集者マグナカルタ(直筆)なども同梱。
詳細情報→開高健記念会ニュース
英語やフランス語、ロシア語など各国語に翻訳されています。
Darkness in Summer / TAKESHI KAIKO(英語版)
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