亜熱帯の戦場で、氷雨の原野で、深夜の書斎で、一本の指となり、創造の起爆剤ともなるライター、パイプ、万年筆、ジーンズ、帽子・・・。
時間と空間と、生と死の諸相の中を旅する作家。
そしてそこにはいつも、物言わぬ同行者(小物たち)があった。
死物を生物に変える日々の回想。
哲人の虚具とし、昼も夜も離さなかったというパイプ、開高健モデルという言葉までうまれている、モンブランの万年筆、
ジッポ、イムコ、榮太樓のミツマメ、ウェンガー・ナイフ、シケモクの手巻器、ラッキー・ストライク、懐中時計、聖書、百人一首、言海、モスキート・コイル(蚊取り線香)、アンバサダー、フェンウィック・・・。
書斎で、屋外で愛用した小物たちへの想いが、滝野晴夫氏のイラストとともに収められています。
生物としての静物(集英社文庫)
人と物との出会いには、いつも、何かしら、奇遇としかいいようのないものがある。
かつて人類はアタマで立って走ったことはないとヘーゲルが喝破したことがあるが、ふくれたハラをアタマでどうやってヘらすかにヒトは没頭する。
この時代の特徴は想像力の枯渇であり、演出の氾濫である。
ぶどう酒は栓を抜いてみるまで油断ができない。
パイプは火を入れて何年もたってみなければわからない。
記念館でも展示 企画展:生物としての静物 がありました。
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