開高健ノンフィクション賞
作家・開高健を記念して作られた、集英社主催、一ツ橋綜合財団後援の文学賞。
対象作品については、「従来の枠にとらわれない、広いジャンル、自由なものの見方・方法によるノンフィクション」としている。
かつてTBSブリタニカが主催していたのは「開高健賞」。
受賞作
第一回(2003年)
【受賞作】平岡泰博「虎山へ」
零下30度にもなる激寒の季節、まだ誰も撮影したことのない絶滅寸前の幻のシベリアタイガーの映像を得る為に、TV局のカメラマンである著者は、ロシア沿海地方の、文字通り虎の棲む山に挑む。
第二回(2004年)
【受賞作】廣川まさき「ウーマンアローン」
伝説の日本人の足跡を訪ねるため、女一人、初めてのカヌーを繰ってアラスカ・ユーコン川下りに挑んだ著者。様々な表情を見せる自然、人々との交流。それは楽しい学びの時でもあった。
第三回(2005年)
【受賞作】藤原章生「絵はがきにされた少年」
日本人が忘れた清涼な魂の物語。今なお、被差別、貧困に満ちたアフリカ。しかしそこには、足ることを知る、純朴な人々が生きている。放っておけば砂塵のように消えてしまう彼らの存在を、言葉を、作者は温かい目で掬いあげ描く。
第四回(2006年)
【受賞作】伊東乾「さよなら、サイレント・ネイビー―地下鉄に乗った同級生」
選考会騒然、評価二分。刊行前から各メディア取材殺到。現役東大助教授・伊東乾が存在をかけて追いつめた「同級生の大罪」。裁かれるべきは、はたして誰なのか。
第五回(2007年)
【受賞作】志治美世子「ねじれ 医療の光と影を越えて」
テーマは医療過誤。誰にとっても、いつ自分がその立場になるか分からない身近な切迫した問題だ。作品の特徴は患者側からの告発ではないこと。「患者の側」「医者の側」の両方の現実を描き出し、その中で「闘う人々」が描かれている。闘うことで物事を変えて行こうとする動きが、問題の突破口として見えている。
第六回(2008年)
【受賞作】石川直樹「最後の冒険家」
地理的な冒険や探検といった行為が困難になりつつある時代に、誰よりも冒険家としての気質を発揮し続けていた人物・神田道夫がいた。その原動力は?何が未知なる冒険に駆り立てたのか。2度にわたって行われた熱気球太平洋横断遠征の顛末を追いながら、彼との出会いと別れを通して神田氏の飛行の軌跡を描く体験的なルポルタージュ。冒険の時代が終わった現代における冒険論でもある。
第七回(2009年)
【受賞作】インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日
26歳の私は、ユーラシア・アフリカ大陸へ二年間の旅に出る。
「その地域に生きる人たちの小さな声に耳を傾けること」を主題に、そして、その小さな声を手がかりに、生き延びる手段を模索し、人間世界を見つめ直していく。
選考委員
第一回〜第二回
筑紫哲也 / 佐野眞一 / 崔洋一 / 田中優子
第三回〜第六回
筑紫哲也 / 佐野眞一 / 崔洋一 / 田中優子 / 重松清
第七回〜
佐野眞一 / 崔洋一 / 田中優子 / 重松清 / 茂木健一郎
開高健ノンフィクション賞(集英社の公式サイト)
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