開高健を訪ねて「開高健記念館」2009
2009年10月31日、企画展も新しくなったので、約一年ぶりに開高健記念館に行ってきました。
じっくり記念館を楽しんだ後、茅ヶ崎市立図書館で行われた、坂本忠雄氏の「開高健の魅力」と題された講演へ。
その様子はまた後日。→更新しました(坂本忠雄「開高健の魅力」講演)
以下は、一緒に行った友人(開高健記念館に行くのは初めてで、最近になって開高健を読みあさっている、27歳の女性、巨乳)の感想文です。
茅ヶ崎の駅からかすかに潮の香りのする懐かしい町並みを歩くこと30分、静かな住宅街の中に記念館はあった。
“開高健 牧羊子” と開高さんの自筆がそのまま彫られた表札のある門をぬけるとすぐ、名言が目に入る。
プレートには「悠々として急げ」、巨大な岩には「入ってきて人生と叫び出ていって死と叫ぶ」.....それが開高さんの「いらっしゃい」の言葉のように感じられた。
外観は平たい三角と四角を組み合わせたような、建設当時にしてはとても斬新な建物。
中に入るとすぐ高い天井から柔らかな太陽光が注ぐ吹き抜けの広間になっており、そこに開高さんの愛用のライターやパイプ、自筆の原稿、写真パネルなどがずらり展示されたくさんの来館者がゆっくりと眺め入っていた。
狭い廊下を抜けると次の小部屋には今回の企画展、河は呼んでいる「開高健とアラスカ」の展示物が並んでいた。
パネル、たくさんのルアーや釣竿、リール、ルポの原稿、色とりどりの酒のコレクション、そして著書の数々......。
時間が許せばいつまでも眺めていたい程充実した内容だった。
それから白いテーブルと椅子の並ぶ赤煉瓦のテラスをぬけて開高さんの書斎へ。
ガラス窓から中を覗くと、世界中で釣り上げた巨大な魚(イトウ,キングサーモンなど...)や熊の剥製やタランチュラ、カラフルなバンダナの束、年季の入ったデスクライト、毛皮のチョッキなどが主人不在の愛用の座椅子を見つめるように部屋中に静かに佇んでいた。
きっと開高さん、この座椅子から360°ぐるり眺め回して思い出を反芻していたんですね......。
展示用に整えられたとはいえ、これらの静物からは開高さんの体温がまだほのかに感じられるような気がした。
書斎のすぐそばに案内係の男性がおられ、部屋の奥の剥製は開高さん可愛がっていた猫のキンちゃん(キンタとも呼んだらしい)が海外へ出掛けている間に死んでしまい、かわいそうに思った奥様が剥製にして残したものなのだと教えて下さった。
これはここに足を運んだからこそ知ることが出来た貴重な話だった。
聞けば無限にエピソードが飛びだしそうな係の男性は、開高さんがご存命なら同じ齢位の方だった。
最後に哲学者の小径を歩いた。
溶岩のような荒い石の脇には黄色いお花や草が茂り、花壇には開高さんの愛した水仙が植えられていた。
今は近所に新しい家が建ちつつあるけれど、昔は辺り一帯林だったそうだ。
外出の際やふと気分転換にこの小径を歩いていた哲学者開高さんの視界を思いながら歩いた。
知人の家を訪ね、また来るねと言うのと同じような気持ちで記念館を後にした。次の展示が楽しみ........。
開高健記念館ホームページ
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 コメント:
コメントを投稿