「眼ある花々」
花をめぐるエッセイ12篇。
ベトナムのジャングル、パリの街角、アラスカ、イスラエル、越前・・・[婦人公論]に連載された花をテーマにしたエッセイ集。
"越前"という字を見るたびに私は暗い空、暗い海、暗い雑木林を思いだす。
柔らかくて深い深雪に淡い陽が射し、雪片の燦めきとかげろうのたゆたいのなかで一点、二点、まさに灯がついたようにいきいきと、咲くというよりは閃めくようであったスイセンを思い出すのである。
「開口一番」
旨い物や珍しい酒に出会ったときの喜び。
ポーノグラフィーとセックスに関する哲学的考察。
パイプをくゆらしながらのアームチェア・フィッシングの愉しみ。
ゲテモノ料理の試食レポート。
冗談や小話の効用について。食・酒・釣・旅のおなじみの名談義から、<スリ><遺失物>のルポ、「四畳半襖の下張」裁判証言記録まで、とっておきの話を満載。
これぞ開高健、ユーモアエッセイ27篇。
永らく入手困難でしたが、本日(2009/10/08)光文社文庫、開高健エッセイ選集第二弾として発売。
第一弾は「白いページ」。
眼ある花々/開口一番 開高健エッセイ選集(光文社文庫)
私はどんなものでも食べる。
大阪生まれのせいだろうか。
食べることには目がない。
朝、目をさまして、まず考えることは、さて今日はどんなものに出会えるだろうかということである。
あれはどうだろう、これはどうだろう、熊掌燕巣、ふとんのなかで目をパチパチさせながら想像を走らせるときの楽しさったらない。
2009/12/08 第三弾として「ああ。二十五年」が発売になりました。
0 コメント:
コメントを投稿