【釣りの名言】女は女じゃないか

開高健の釣り名言

女は女じゃないか

オーパ!」より

オーパ (集英社文庫 122-A)

大騒動のさなかに菊池君はピンタードをルアーで釣り、それをとりこむためにさらに大騒動になったらしい。
生簀をあけてみると一メートル強の馬面のお化けが生簀に入りきらず、体を曲げてあえいでいる。
腹のでっぷりした、みごとなお化けであった。
この人はアマゾンでもアロワンナだの、カショーロだのと、異形の魚ばかり、誰も釣ってないのを一人であげていたが、ここへきてとうとう外道の極点に到達したらしい。

「・・・イヤだなあ、オレ。けったいな魚ばかり釣っちゃって。スルビンだなんて。ドラドが一匹も釣れなくて、こんな化けもの釣っちゃって。何もわるいことしてないのに」

真摯にうなだれて憂鬱そうにぶつくさ呟いている。
それを聞いて私は顔をあげ、冗談いっちゃいけない。
お化けだって一匹じゃないか。
一匹は一匹だよ、と慰める。
それでもうなだれてうっとうしそうな顔をしているので、一匹は一匹、獲物は獲物だよ、といってもまだふさいでいる。
女は女じゃないかと声をあげたら、そこでやっと、ニッコリした。
 

このサイトについて

開高健(かいこうたけし)
1930年12月30日〜1989年12月9日
ベトナム、アラスカ、モンゴル・・・
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