読書の楽しみを語り、現代の風俗を諷刺し、食味の真髄を探り、釣りの薀蓄を傾け、世界の美酒・珍酒を紹介し、人生の深奥を観照する。
鋭い洞察が溢れ、ユーモアとウィットに富み、自ずと人柄のにじみ出る絶妙な語り口は読者を魅了せずにはおかない。
「男の収入の三分法」「面白い物語はまだまだある」「釣るのか釣られるのか」「酒の王さまたち」など珠玉64編。
「サンデー毎日」に1975年(昭和50年)〜1977年(昭和52年)の間、103回にわたって連載されたもの。
「ロートレックがイナゴを食べた」「戦争についてのどうでもいいような一言」「またまた入る・ヒトラーか」「夕方男の指の持っていき場所」「中年男のシックな自炊生活とは」「酒瓶のなかに植物園がある動物園がある」・・・タイトルだけでも楽しめます。
みなさまも今季からは志を一段エスカレートされ、釣った魚をどんどん逃がしてやって頂きたい。
魚の体力が回復するのを待ってやり、ゆらゆらと閃きつつ蒼暗の深遠へ去っていくその尾を見送ってやって頂きたい。
その見返りに日本海や太平洋があなたのものとなるのである。
「カイタカケン」
「カイタカケン」
二度ほど繰り返してから
「カイタ・カケン」
「書いた? 書けん!」
とれたての山菜にあるホロ苦さはまことに気品高いもので、だらけたり、ほころびたりした舌を一滴の清流のようにひきしめて洗ってくれる。
はしゃぐ童女の眼にあるような青く澄んだものと、辛酸をかいくぐってきた男の横顔にきざみこまれているもの、それが二つながらあるように思われる。
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