【名言】いそいで書いた

開高健の言葉

「ごぞんじ」とともに手紙の文末によく書いていた言葉。

開高健牧羊子手紙

1973年(昭和48年)ベトナムに和平調印を見届けるため150日間滞在。
その間に、牧羊子夫人、娘の開高道子さんに宛てた手紙。

わが愛する妻よ!
わが悩みの娘よ!

余は元気である。非常に
元気である。夜明けに大砲が
とどろいたり、デモで催涙弾に
泣かされたりしたが、かつて
なく元気である。下痢もし
ない。風邪もひかない。
食慾は旺盛。昼寝が三時間
あるので何ともありがたい。
これは余にとってすばらしい
美習である。余はハナちょう
ちんをだして眠りこける。
モンキーバナナを食べると
よく眠れるのである。だから
余は元気である。
ここでは子供はハダシである。
銭を投げて遊び、デモだという
と急先蜂になって突進する。
ここの唐辛子は小さいが
ひどくカライのである。

いそいで書いた。

また眠くなってきたようだ。

「サライ」2005年9月号より

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このサイトについて

開高健(かいこうたけし)
1930年12月30日〜1989年12月9日
ベトナム、アラスカ、モンゴル・・・
世界を股にかけた行動する作家、開高健のあれやこれやを紹介するサイトです。
リンクはどこでもご自由に。

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