予算の残りを食いつぶすために生れた《景気調査官》。
彼の役目は文字通り各地の食物を試食し、景気に関する "実感的レポート" を作製することにある。
銀座のたこ焼きをふり出しに、知床半島から鹿児島まで、あり余る "取材費" にものを言わせて、主人公はただひたすら食いまくる・・・。
官僚主義への痛烈な諷刺を軸に、一瞬にして消え去る美味の本質を見事に捉えた異色の食味小説。
開高健みずから食べ歩き、それを小説化したもの。
東京、神戸、大阪、北海道、松江、岡山、松坂、十和田湖、京都、鹿児島などなど、全国各地で食べまくります。
明石焼き、ドテ焼き、たこ梅のさえずり、宍道湖のシラウオ、松坂牛・・・。
新しい御馳走の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである。
小説の冒頭で引用されている、ブリア=サヴァラン(ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン - Wikipedia)の言葉がすべて。
ブリア=サヴァラン「美味礼讃(上)(下)」
世にも名だたる食通で、あらゆる学問芸術に通じ、その上、詩や作曲もするという、ただの美食家とはわけが違う粋人ブリア=サヴァランが、その学殖蘊蓄を傾けて語る "料理の芸術" 。
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