「腹のことを考えない人は頭のことも考えない」S・ジョンソンの絶好の格言に導かれ繰り広げられる、古今東西、人の飽くなき欲望を思い知らせる食談の数々。
歴史、文学、政治までをも軽妙洒脱な語り口で呑みこみながら、最底辺の食事から王様の食事、はては人肉嗜好まで。
「食」の愉悦、深淵、その極北をあますところなく描きつくす、食の大全。
雑誌[諸君!]の連載をまとめたもの。
どん底での食欲から、ありあわせの御馳走、一匹のサケ、日本の作家の食欲・・・最後の晩餐まで、まだ知らない食の世界を垣間見ることが出来ます。
とても広く深い一冊。
美食とは異物との衝突から発生する愕きを愉むことである。
食べるあとあとから形も痕もなく消化されてしまっていくらでも食べられ、そして眠くならないというのがほんとの御馳走というものではあるまいか。
文学作品も、ほんとの名作というものは、読後に爽快な無か、無そのものの充実をのこし、何も批評したくなくなる。
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